どちらがよい?「学級担任制」と「教科担任制」

2019/05/09



「小学校の先生はすべての科目を教えるけど、難しくないのだろうか」
――そのような疑問を浮かべる人は多いと思います。そして、その回答は「難しい」だと思われます。
小学校では、基本的に1人の担任がすべての科目を教えます。その制度を「学級担任制」と言います。

例えば、小学校5年生ではどのような教科があるか挙げていきます。
教室内での学習が多い「国語、社会、算数、道徳」。
実践が多い「理科、音楽、図工、家庭科、体育」。
総合的な能力によって実践する「特別活動、総合的な学習」。
さらに2020年度からは「英語が正式科目」「プログラミングが必修化」。
これだけの科目を1人の教員で教えるのが「難しい」のは、言うまでもありません。しかし、それが現状です。ところが、この現状を変える動きがあります。
文科省は小学校5、6年の特定教科や科目について「教科担任制」を推進する方針を決めました。「教科担任制」とは、1つの教科を担当する教員が複数の学級を指導する制度です。現在でも、理科や音楽など、一部の科目では積極的に実践されております。それに加えて今回、プログラミングという高度に専門的な内容が増えたため、さらに「教科担任制」が推進されていくようです。
「教科担任制」はメリットが多いように思います。しかし、デメリットもあるようです。

(以下、2019年4月11日毎日新聞から引用)
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 文部科学省は、小学校5、6年の特定教科や科目について、専門教員が複数の学級を受け持つ「教科担任制」を推進する方針を固めた。2020年度から英語が正式教科となり、プログラミングが必修化されるなど専門性の高い教員が必要となる。教員の負担軽減につながる側面もあり、近く中央教育審議会(中教審)に諮って教員配置のあり方などを議論する。
(中略)
 小学校では、学級担任が大部分の教科を教える「学級担任制」が一般的。教員が専門分野以外の教科を教えなければならないことに加え、異なる教科を教えるための準備に時間がかかる弊害も指摘されていた。
(中略)
 一方、担任が児童の能力や特徴を把握しにくくなるとの懸念もある。学級担任制ではクラス全体の運営を通じて児童の発達を確認することができるが、教科担任制ではきめ細かい指導ができなくなる恐れがある。
(中略)

教科担任制の主なメリットとデメリット
<メリット>
・専門的で質の高い授業ができる
・担当教科を絞ることで教員負担が軽減できる
・児童と担任の相性が悪い場合に他教科が逃げ場になる
<デメリット>
・児童の能力や特徴を把握しにくい
・小規模校では教員が足りない
・教科横断的な授業が展開しにくい
―――

このように「教科担任制」には、メリットとデメリットがあります。
確かに、より質の高い授業をすることができるのは、「教科担任制」の特長と言えます。
しかし、児童の個性を理解して、授業に応じてより生かすことができるのは「学級担任制」の特長と言えます。
だから、必ずしも「教科担任制」がよりよい制度とは言い切れません。
そもそも、教育の目的は教育基本法に示されているように「人格の完成」です。
人格の完成のためには、「知育・徳育・体育」によって、調和的に成長するように生徒を指導する必要があります。そのために「教科担任制」の方がよりよいか、「学級担任制」の方がよりよいか、を考えて決めていくことが大切だと思われます。

 


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